イントロダクション

COVID-19のパンデミック当初、移民局は、事務処理上の大きな問題に直面した移民申請手続を容易にするために、いくつかの柔軟的な対応策を発表しました。そのうちの1つが、特定の移民申請書類への直筆の署名を不要とする対応でした。

当初は一時的な対応とされていましたが、運用がうまく進んだことに加え、申請者からの好評を博したことから、2022年7月25日、移民局は直筆の署名を不要とする対応を永続的な運用とすることを発表しました。

この変更はもちろん歓迎されるべきものですが、移民局は、移民申請手続において、依然として署名要件を慎重に検討するべきとの立場をとっている点には注意が必要です。

移民局への提出書類には、誰が署名できるか?

移民局へ申請書を提出する際には、限られた状況を除いて、申請者本人が申請書に署名をしなければなりません。この署名を行うことにより、署名権限があること、文書に記載されている事実を理解していること、そしてそれらの事実が真実であることを本人が確約するものとされているためです。

企業や政府機関の場合、申請書は企業や承認された者によって署名される必要があります。法人が特定の人物に対して法人を代表して署名する権限を付与している限り、その人物は「権限のある者」となります。権限ある署名者とは、例えば以下に該当する場合を意味します。

・法人を代表する権限を有する執行役員

・LLCまたはLLPのマネージングパートナー、またはマネージングメンバー

・個人事業主(個人事業主の代表して署名できる唯一の人物であるため)

・パートナーシップにおける、正式なパートナー

・法人の法定代理人として雇用関係にある弁護士

・企業の人事部門に在籍する者

・証明書の作成や特定の条件下で企業を法的に拘束する権限を有する従業員

なお、移民局が署名権限について疑問を持った場合に

は、Request of Evidenceと呼ばれる書面(追加の資料や証拠を出すよう求める書面)が発行される可能性があります。

先に述べた通り、移民局へ申請書を提出する際には原則申請者の署名が必要ですが、以下の場合には例外的に署名が不要となります。

  • 未成年者 親または法的な後見人が14歳未満の子供の申請書に署名をすることができます。14歳以上の子供の場合には、自身で申請書・請願書・その他要望書に署名をする必要があります。親が署名する場合には、親子関係を証明する書類(出生証明書、養子縁組証明書など)を添付する必要があります。
  • 病気等による制限能力者 制限能力者と判断された者が申請する場合には、適切な裁判所または公的機関によって任命された法的な後見人が署名をすることができます。後見人であることを証明する書類(裁判所または公的機関が発行した後見人資格証明書または命令書)を出願時に提出する必要があります。
  • 委任状に基づく申請

移民局は、本人が署名できない状態に陥ってしまった場合に限り、代理委任状を受け付けます。その要件を満たすことの証明として、代理委任状のコピーやその他資料を提出する必要がありますが、裁判所が発行する書面までは不要です

有効な署名の要件とは何か?

移民局は、直筆の署名は不要とする対応を採用しましたが、電子署名は受け付けません。署名ページの原本が移民局に提出されない場合には、特段の事情がない限り、署名ページは、手書きの署名がコピーされたものでなければなりません。また、タイプライター、パソコン、ワープロ、スタンプ、その他類似の方法で作成された署名は受理されません。

署名ページは手書きの署名をコピーしたものである必要がありますが、署名そのものが判読可能である必要はありません。手書きの「X」という表記やインクによる同様のマーク(指紋を含む)でも構いません。また、署名者が通常使っている方法である場合には、省略した署名も認められます。なお、電子的に提出された移民局の書類は、この原則の例外に該当し、タイプされた署名が許可される場合があります。署名者は電子的に提出されたフォームが適切に署名されていることを確認するためにも、フォームの指示に従って作成する必要があります。

移民局が不適切な署名と判断した場合

申請者、請願者、依頼者が「不適切な署名」をしたと移民局が判断した場合、その署名を修正することは認められず、署名の要件を満たしていないと判断された場合は、書類一式が返却されます。移民局が最初に審査請求を受理した場合でも、提出された書類に不適切な署名がなされていると後で判断した場合には、移民局は却下の決定を下します。一度書類一式が拒否された場合、適切な署名を付したものを再提出していただくしかありません。なお、移民局が署名不備と判断し、拒否の決定を下した場合でも、申請者、請願者、依頼者は、問題となった書式に応じて、不服の

申し立てや上訴の権利を有します。

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